貸倒損失
こんばんは。佐藤です。
今回は、貸倒損失について、説明します。
売掛金などの債権が回収できなくなった場合、「貸倒損失」として必要経費にすることができます。
ただし、貸倒損失として必要経費にするためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
※個別の状況で経費にできるかどうかが変わってきますので、税理士までお問い合わせください。
≪貸倒損失とすることが出来る要件≫
売掛金、貸付金、前渡金などの貸金等が貸倒損失として必要経費と出来るかどうかについては、その債権が
1)法律上の貸倒
2)事実上の貸倒
3)形式上の貸倒
のいずれかにの要件に該当する必要があります。
▼法律上の貸倒
法律上の貸倒とは、客観的にみて明らかに貸倒損失であることがわかるもので、下記のような場合をいいます。
1)会社更生法の更生計画認可又は、民事再生法の再生計画認可の決定により切り捨てられる金額が生じた場合
2)会社法の特別清算に係る協定の認可の決定により切り捨てられる金額が生じた場合
3)債権者集会の協議決定により債務者の負債整理が定められた場合
4)金融機関等のあっせんによる当事者間の協議決定があった場合
5)債務超過の状態における債務免除の通知をした場合
認可や協議が「決定」していなければならず、申請や協議を行っただけでは該当しません。
※貸倒損失額と出来るのは、債権の全額ではなく切捨額や債務免除額です。
※必要な資料…更生計画等法定文書、債権者集会の協議書、債権放棄の書面等
▼事実上の貸倒
1)債務者の資産状況、支払能力等からみて貸金等の全額が回収出来ないことが明らかである場合
※貸倒損失額と出来るのは … 貸金等の全額
(但し、担保物がある場合には担保物を処分することで得られる金額を差し引いた額)
※必要な資料…債権者集会資料、一定期間の調査経過資料など
▼形式上の貸倒
形式上の貸倒とは、状況からみて貸倒損失と認められるもので、下記のいずれかに該当
する場合をいいます。
※形式上の貸倒の場合、売掛金、未収請負代金等をいい、貸付金をなどの金融債権は含みません。
1)債務者との取引停止時以後1年以上経過している場合
2)債権の取立に係る費用が、同一地域内の売掛債権の総額よりも高く、かつ、支払いを督促しても弁済がない場合
※貸倒損失と出来る金額は、‘売掛債権-1円‘です。
※必要な資料…帳簿、証憑類等
以上の要件に該当した場合には、損失の生じた日の属する年分の必要経費に算入できます。
※貸倒損失として必要経費に算入した貸金等が、回収出来た場合には、その金額を回収出来た日の属する年分の収入にする必要があります。